気象庁発表の震源情報は、基本的として前日のものが翌日18時には発表されており、EarthquakeJapanWiki に日報として掲載しています。日々の地震発生状況を確認し、その動向を観察しているとエポックには目が向きますが、「木を見て森を見ず」のように思いはじめました。
そこで、各月の全国と全国を14地域に分け、それぞれの地震状況をまとめて、さまざまな視点で見てみることにしました。
まずは、全国の地震発生をマップで確認し、さらに全国の発生頻度を 3種類のヒストグラムに可視化して、前月と前年同月とも比較してみます。
全国の震央マップ
図1 2025-01 全国震央マップ
2025年1月の全国観測網で観測された地震をマッピングしました。観測点で測定され求められたデータを気象庁が発表し、それをまとめたものです。台湾から千島列島まで、観測点で測定されたものがすべて震央としてプロットされています。
従って観測点が限られるエリア(台湾・千島列島)などの地震は、ある程度以上の規模のものでなければ観測出来ないと見られます。
震央の大きさは、マグニチュードではなくエネルギー(J)に換算して階層化しています。右上のアイコンを開くと階層別のチェックボックスがありますので、チェックの ON/OFF で震央の 表示/非表示 が行えます。
2025年1月に起きた最大の地震は、2025-01-13 の日向灘の地震。それに次ぐ地震はおおまかに伊豆・小笠原諸島と台湾の地震になります。おおむね海域での地震が大きく、陸域の地震は小さいという状況になっていますが、例外的に 1月23日 に福島県会津で マグニチュード: 5.2 深さ: 4.0km
エネルギー: 3.98e+12 J という地震が起きました。
とても浅い震源の浅発地震で、とても近い場所に観測点があったことから震度5弱という最大震度を観測することができました。
震度については、実際の地震の規模との間に、震源の位置と観測点との関係で大きく差が見られるので、震度だけでは地震について評価することはできません。
おおよそ M3.5(1E+10) 以下の地震は、北海道の一部地域を除く全国各地で起きています。小さな地震もその階層(規模)によって分布が異なっているのは、日本列島の地質・地殻構造が大きな要因になっていると考えられます。
震源地域ごとの頻度比較
図2 全国地震回数階層別ヒストグラム(前月・前年同月含む)

全国300震源地域を地震回数ごとに10階層に分けて分類しました。階層区分が均等で無いのは、頻度の少ない地域が圧倒的なので、地域数がある程度均質になるように階層を調整しました。さらに前月分と前年同月とを比較することができるようにしました。
全国300震源地域のうち 2025-01 では、93地域およそ 1/3 近くが地震回数 0 となっています。前月は 64回、前年同月は 61回と、今月の地震回数 0 地域の多さには差があると思われます。
その一方で、前月と比べると 500回以上の地域が 5 となっていて、前月の 2、前年同月の 6 と比べると能登半島地震があった前年同月並みの地震回数となっています。これは、日向灘、会津 での地震が影響していると考えられます。
マグチュード階層別地震回数
図3 全国地震マグニチュード階層別ヒストグラム(前月・前年同月含む)

2025-01 に起きた全地震をマグニチュード階層別(0.5区分)にヒストグラムにしました。マグニチュードにマイナス区分があるのは、M0 は 6.310E+05、M-1 は 2.000E+04 というエネルギー(J)値を持ちます。
M0〜M1.5 までの回数が圧倒的に多いために、Y軸の頻度は対数軸として、回数の少ないものの視認性を高めるようにしました。
マグニチュードは 32倍の法則と呼ばれる規模差がありますので、1 違うと 32倍 のエネルギー差があるということになります。マグニチュードのクラスではその規模差がわかりにくいので、ここではエネルギー(J)に換算した値を基本的には比較検討の主な資料とすることにします。
2025-01 の地震回数は 19695回、単純平均すると 約635.32回/日 となります。約26.47回/時 となりますので、およそ 30秒 に 1回 どこかで地震が起きています。前月は 17398回、前年同月は 34253回 となっています。前月はおよそ同程度、前年同月は能登半島地震があったことから、倍近くの地震が起きていますので、能登半島地域では 1分に 1回 の様々な大きさの地震が起きていたことになります。
エネルギー階層別地震回数
図4 全国地震エネルギー階層別ヒストグラム(前月・前年同月含む)

2025-01 に起きた全地震をエネルギー階層別(10のn乗区分)にヒストグラムにしました。階層は10の3乗から10の14乗までの区分に分布しています。10のn乗という単位なので、階層の差は 10の1乗倍ということになり、最小値の10の3乗と最大値の10の14乗との間には、10の11乗というとんでもないエネルギー差があります。
例示すると 10E+03 は、人が飛び跳ねた時、10+E14 は広島型原爆(リトルボーイ: 約 6.3E+13)より少し大きなエネルギーということになります。
1E+12 以上を中規模地震、1E+15以上を大規模地震、1E+16以上を巨大規模地震、1E+18以上を超巨大規模地震とここでは定義することにします。
2025-01 は中規模地震が36回で、大地震以上のものはありませんでした。前月は 1回大規模地震規が見られ、前年同月は巨大地震規模(能登半島地震)がありました。
エポックはあったものの、月間を通すと比較的静穏な月だったと言えましょう。
※ M6(6.310E+13)が広島型原爆とほぼ同等のエネルギーとなります。
※ 地震の規模を原爆と比較することは好ましく無いと考えていましたが、日米首脳会談で日本は核の傘の下で平和維持をするという方針が発表されたことから、敢えて広島型原爆(リトルボーイ)と地震の比較を行うことにしました(一般的には、広島型原爆と地震のエネルギー比較をすることが多いようです)。
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