能登の地震
新年最初の課業は、やはりここに至るきっかけとなった能登の地震について、考察してみます。
昨年、1月1日 16:10 22.5, M : 7.6, 深さ: 16.0km, エネルギー: 1.58e+16 J という巨大地震と言える地震が、能登半島北東端に近い場所で起きました。
※ ここでの地震の区分は、1e+15 J 以上を大地震、 1e+16 J 以上を巨大地震、1E+18以上を超巨大地震と呼ぶことにします。
※ マグニチュードで表すと、地震が放出したエネルギーの規模がイメージしにくいためあえてエネルギーの単位(単位 J は省略)にマグニチュードを換算し、併せて示すことにします。
2023年5月5日に、この地震の近傍で M6.5(3.55 1E+14)の地震が発生しており、ほぼ同時に M5.4(1.26 1E+11)、さらに 11分後 M5.0(6.31 1E+10)が発生。そして、7時間後に M5.9(2.24 1E+12)の地震が起きました。
能登半島の北東部では、2020年末より群発地震の状態で地震が頻発していて、地震の巣と呼べるような様相を示していた。能登半島では、それ以前にも M6 クラスの地震がくり返し起きており、地震の様相がどのように推移するかについて注目されてはいました( cf. 能登半島北東部で 2020年末頃から活発な群発地震活動 )。
5月5日以降、2023年12月での地震の状況は M0〜3 の地震が 10〜37回の範囲で起きるまでになっていた。ちなみに、2024年12月31日の地震回数は 38回と昨年12月レベルまで減少しています。
2023年5月5日と2024年1月1日の地震では、エネルギー比は 1:44.49 になります。地震後の経過も前者は能登半島北東部周辺での群発地震の様相を示し、後者は能登半島全域で地震が起きるという、全く違う経過をたどっています。
能登の地震と他地域の地震を比較
手元に 1919-2024 の間に起きた地震についてのデータがあり、この期間に起きたある程度以上の地震回数が能登と類似した場所を探して比較することにしました。
どの程度の地震を基準にするか、1E+13 およそ M 5.47 以上の地震回数にすることにしました。
能登で起きた 1E+13 以上の地震回数は、1919-2024 では 29回となっています。
下の図は、1E+10 以上の地震の震源分布を示したグラフです。
図1: 能登地方震源分布グラフ
基準は 1E+13 としましたが、Plotly のグラフは エネルギー範囲の ON/OFF を選択できるので、思い切って 1E+10 以上の地震をプロッティングしました。
106年間の中規模以上の地震の分布がわかります。概ね 50km よりも浅い地震が大多数を占めています。不思議なことに北西から南東へ向かっての地震群を見ることができます。これは何でしょうか???
石川県庁、志賀原発、輪島市役所、珠洲市役所を Spot としてプロットして、位置関係と緯度・経度の調整が容易になりました。これでグラフがわかりやすくなったと思います( 1/3 の調整成果)。
他の地域との比較、1E+13 の地震が 106年間で同じように起きている地域を探すことにしました。
東北太平洋沿岸の地震は、能登半島と比べるもなく大きいと思いました。確かに東北太平洋沿岸全体で 1384回、M9(1.995E+18)という超巨大地震が起きた宮城沖では 127回 と、およそ 3倍の回数となっていました。
次に関東(伊豆、伊豆諸島、周辺海域を含む)を調べたところ、意外にも 760回 と想定以上の回数の地震が起きていました。そこで、首都圏一都七県に限ったところ、それでも 433回 という思った以上に多い地震がありました。
この2つのエリアは、能登の地震とは異なる海溝型地震(プレート沈み込み)が見られることから、回数差がそれほどでもなかったとしても比較は、それほどに意味のあるものではないと考えました。
さて、次はどこにと考え、ずっと西に移動して同じ地殻内での歪みによる地震が起きた熊本県での地震を確認したところ、熊本県熊本地方では 6回 ということで、こちらは想定外に少ない回数でした。それならば、推定ですが中央構造線つながりで東隣の大分県も含めたらどのようになるかと思い、加えて回数を出したところ 26回 となって、ほぼ同数となりました。
熊本・大分県(中九州)の 3D グラフも 106年間 の状況としては、やはり 50km よりも浅い地震が多く占めていることがわかります。やはり、地震の起き方に類似性があるのではないかと推測されます。
こちらは、大分(別府付近?)から天草にかけて縦方向に並ぶような震源群と、南東から北西に向けての斜めの震源群を見ることができます。大分から天草へのラインは、中央構造線に関係するものではないかと推測され、南東から北西に向けてのラインは、フィリピン海プレートの潜り込みによるものでしょうか???
Spot は、大分県庁、阿蘇市役所、熊本県庁としました。
付: 宮城県沖 & 首都圏(一都七県)1919-2024 の地震
他の 2地域の 3D グラフも作成しましたので、それぞれの地域の違いを見ると、その特徴と複雑さを見ることができましょう。
図3: 宮城県沖震源分布グラフ
Spot は、仙台駅、女川原発、気仙沼駅の 3ヶ所です。
図4: 首都圏(一都七県)震源分布グラフ
スポットは、大津港駅、水戸駅、宇都宮駅、前橋駅、浦和駅、東京駅、銚子駅、小田原駅、甲府駅です。
細かい考察は別の機会としますが、宮城沖地震の震源はプレートの沈み込みが示しているような分布になっています。
そして、首都圏の震源分布、書籍の文章ではイメージが難しかった地下の複雑さ、太平洋プレートの沈み込みの上に切れ端(関東フラグメント)が乗っていて、その上にフィリピン海プレートが沈み込んでいるという事を示すように、 3D グラフをぐるぐる回してみても、スポットがなければどこがどこだかわからない、そしてどこでも地震が起きているという感じに見えてしまいます。
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