図 1 各種地震観測点マップ
※ 地震本部公開データより
※ 右上の凡例のチェックを ON/OFF すると表示が切り替わります
地震の観測点は、震度計、地震計の設置場所があちらこちらにある事は既知のとおり。震度計の設置点については以前に、気象庁サイトより取得してマッピングを行いました。
防災地震Web では各種地震観測情報を公開しており、震度計の設置点とは別の観測点ネットワークがあると思われました。
1919-2025年の地震について考察するために、観測点の変遷を確かめられたらとネットで情報を探したところ、目的の情報では無く各種地震観測点のデータを地震本部から得ることが出来ました。
図2 2025年1月23日会津地震震央マップ
図2 のように、2025年1月23日 02:49 28.2 に福島県会津地方で M5.2、深さ 4km という地震が発生しました。この地域は 1919-2025年のデータによると、国内でも非常に地震の多い地域のひとつになっています。
ちなみに、この地震の直前 0.3秒前にマップのように近傍で地震が発生していますが、この地震のマグニチュードは発表されていません。
詳細な考察は後日行う予定にしていますが、一部投稿に『震度 5弱観測したのは、1919年の観測開始から初のこと』というものがありました。しかし、これは事実誤認と言って良いもので、震度計の設置は兵庫県南部地震後に一気に整備されました。また、1996年までは観測地点で人感による震度決定が行われていました。1996年以降は震度計による機械観測となって、公開データは1997年以降が機械観測データとなっています。
図3 1995年3月17日 兵庫県南部地震震度観測点マップ
図3 の兵庫県南部地震の震度計測点マップを見ていただければ一目瞭然で、1995年3月段階の観測点の分布は概ねこのようなものであったと考えられます。ただし、前述のとおり観測点での人感による判定でありますので、地震計の機械的な判断とは異なった基準での計測となります。
図4 気象庁震度観測点マップ
参考までに気象庁震度観測点マップも表示してみました。これだけの密度で震度観測が行われていたら、兵庫県南部地震ももっと多くの震度観測が行われていたでしょう。また、地震の揺れがどのように広がったかの詳細がわかっただろうと思われます。
図5 広帯域地震計の観測点マップ
図1 の個別マップ、図5 は広帯域地震計の観測点マップです。防災地震Web の解説( https://www.hinet.bosai.go.jp/about_earthquake/part2.html 他)によると「地震の短い周期の振動から長い周期の振動まで、広範囲での地震動を記録できる機器」とのことです。
陸上のものは防災科学研究所(防災科研)や大学等の機関のもので、海底下のものは海洋研究開発機構のものとなっています。データは防災科研に転送されて分析、公開されています。
図6 高感度地震計の観測点マップ
図1 の個別マップ、図6 は広感度地震計の観測点マップです。地上の観測点での地震観測は、地上での人工波による雑微動と呼ばれるノイズが加わることで、微細な地震の観測が困難となっています。そのために、基盤層まで地下深くに観測用の穴を掘り進めて、そこに機器を設置することで雑微動の影響を排除しているということです。
観測点は防災科研のほかには、気象庁、国立大学、海洋研究開発機構、国土地理院が設置しており、気象庁に観測データは集められて即時震源決定処理が行われ、防災科研にも転送され広帯域地震計の観測データ同様に処理、公開されています。
図7 強震計(地上)の観測点マップ
図8 強震計(地下)の観測点マップ
図1 の個別マップ、図7 は強震計(地上)、図8 は強震計(地下)の観測点マップです。大きな地震でも測定可能な大きな許容範囲を持ち、頑丈な構造が求められる震度計となっています。
地上での強震計は、雑微動の影響を受けないので地上に設置することが可能で、防災科研、国土交通省、気象庁、等が設置しています。
また、地下の強震計は防災科研設置の高感度地震計と共に設置されているとのことです。ふたつの測定機器が設置されている理由は、両者の測定値の差異を検討することで地震と地盤との関係性を検証することができるためだとされています。
地震はいろいろな観測点・観測機器で測定されおり、ほぼリアルタイムで気象庁、防災科研に転送されるようになっています。その観測網は陸域ばかりでなく、海域にも至っています。
陸域の高感度地震計・強震計(地上)緻密さは、日常的な地震情報の発表でうなずけるところがあります。そして、海域の高感度地震計の設置分布は、日本海溝、千島海溝、相模トラフ、駿河トラフ、南海トラフにあることがわかります。
これまでに得られた情報では、南海トラフ地震の発生に向けて、四国海盆周辺海域に地震計を設置している(する予定)ということでした。しかし、2024年4月1日現在のこのデータでは、確認することが出来ませんでした。
南海トラフ地震の発生確率は、他の地震発生率と比べると異常に高いものとなっています。ある意味常識はずれ、あした起きてもおかしくないという比率と言っても良いでしょう。比率の数値をどのように判断するかは、個々別々なものとなってしまいます。
ふと思い出したのが、三重県児童相談所の虐待死事件です。AI が算出した虐待率 18%。これを高いと見るか、低いと見るか・・・判断はその数値を扱う者に任されてしまいます。結果、主観的なものとなってしまい、担当者等は虐待のおそれは低いと判断してしまい、最悪の転帰となってしまいました。
話がそれましたが、南海トラフ地震についての確率、これは果たして妥当なものか。また、震源想定域も然り。1919-2025年のデータを処理して眺めているうちに、どうも間違っているのではないかと疑問を感じました。
まず確率は、ある一定の間隔で起きることを根拠にして、正規分布に無理矢理押し込んだ数値を、発生確率にあてはめているとの説明に思えました。果たしてこの方法が妥当か、どう考えても統計的には有意性があるとは言えないでしょう。
公開されている資料には、日向灘地震の震源域とその間隔のグラフも示されているものがあり、それを見ると南海トラフ地震と日向灘地震の関連性は低いのではないかという印象を持ちました。
次に、震源想定域は地震の震源というか、さまざまな資料・情報から地震が周囲に影響を及ぼす範囲という意味で用いられていると考えられます。従って地震が起きる場所を想定しているものではないとも言えましょう。
1919-2025年だけでなく、745年から震源(震央)の緯度経度が確認された地震を見ても、四国沖、四国海盆では大きな地震は起きていません。
図9 745-2024 震源マップ( 1e+12 から 1e+17 以上の地震)
図9 の右上のアイコンで地震のエネルギー階層別で 表示/非表示 が出来るようになっています。全部表示では密すぎてわからないものも、階層を特定し拡大すると四国沖、四国海盆での地震の頻度が、他の地域と大きく違うことがわかると思います。
このことから、南海トラフ地震の震源となる場所は、室戸岬よりも東側であるという想像をするようになりました。
今回、地震計器設置についてのマッピングを行い、予定なのかも知れませんが、室戸岬沖よりも西側には海域に計測機器が設置されていません。相模トラフ、駿河トラフには既設置、もちろん南海・東南海地震が起きたエリアにも設置されています。
この事実からも南海トラフ地震の震源想定域は見直す必要があると思います。また、超巨大地震発生の可能性については、日本海溝、千島海溝とは違ったプレートの動き、沈み込み、海底潮流の存在があることからとても低いことが想定され、その一方で地震連動と津波地震の発生に警戒する必要があると考えます。
想像はこの辺で終わりとして・・・次の話題は、「日向灘」と「会津」の地震になります。
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